6 ワォォォォォォーーーーーー・・・・・・ 近くで、狼の遠吠えが聴こえた気がした。 「狼っ………!?」 はっとして目を開け、飛び起きた。 「………っ、あ…………」 「油断した」と思ったときには、もうまわりに狼の群れがいた。 なす術もなく、エフィーリアはその場に立ち尽くす。 「どうすればいいか」とか「怖い」とか「このまま自分はここで殺されてしまうのではないか」とか、そんな思いすら一切浮かばず、ただ茫然とするのみ。 頭が真っ白にスパークする。 頭は動かない。 ただ、頭は動かなくても、身体は本人の生命の危機に敏感だった。 鼓動が早くなり、身体中から嫌な冷や汗が噴き出す。 「あ………ど、しよ……だれか……たす、け………て…………」 自分に向かってくる狼たちの動きは、やたらとゆっくりに見えた。 もう、覚悟を決めたからか、先ほどまでの恐怖は感じない。 その代わりに願う、たった一つの想い。 瞼の裏に浮かぶ、彼の笑顔。 ―――最後にせめて、シリウスさんに逢いたかった……。 そして、意識は現実を受け止めきれずに、エフィーリアは恐怖のあまり気を失ってその場に倒れてしまった。 その時。 |