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 ワォォォォォォーーーーーー・・・・・・

 

 

 近くで、狼の遠吠えが聴こえた気がした。

 

「狼っ………!?」

 

 はっとして目を開け、飛び起きた。

 

「………っ、あ…………」

 

 「油断した」と思ったときには、もうまわりに狼の群れがいた。

 なす術もなく、エフィーリアはその場に立ち尽くす。

 「どうすればいいか」とか「怖い」とか「このまま自分はここで殺されてしまうのではないか」とか、そんな思いすら一切浮かばず、ただ茫然とするのみ。

 頭が真っ白にスパークする。

 頭は動かない。

 ただ、頭は動かなくても、身体は本人の生命の危機に敏感だった。

 鼓動が早くなり、身体中から嫌な冷や汗が噴き出す。

 

「あ………ど、しよ……だれか……たす、け………て…………」

 

 自分に向かってくる狼たちの動きは、やたらとゆっくりに見えた。

 もう、覚悟を決めたからか、先ほどまでの恐怖は感じない。

 その代わりに願う、たった一つの想い。

 瞼の裏に浮かぶ、彼の笑顔。

 

―――最後にせめて、シリウスさんに逢いたかった……。

 

 そして、意識は現実を受け止めきれずに、エフィーリアは恐怖のあまり気を失ってその場に倒れてしまった。

 

 

 その時。

 

 

 エフィーリアの身体から、金色の透明な光が、瞬き、まるで彼女を護るかのように彼女をふんわりと優しく包み込んで……溢れ出したその金色の液体のような光は、水のように、同心円状にゆるやかに拡散した―――。

 

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