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「はぁっ……はぁっ……やっと着いたー」

 

 確かこの辺りだったはずだ。

 辺りにはまだ、純粋な水のような清々しいエーテルが残っていた。

 シリウスはしばしうっとりとそのエネルギーに陶酔していたが、目の前に広がっている惨状を見た瞬間、硬直した。

 

「なっ……何があったんだ…?」

 

 そこには、累々と横たわる狼の屍。不思議と、血は見当たらない。

 シリウスは、狼たちの屍の真ん中に倒れているエフィーリアを発見するや否や、その身体に駆け寄って、すっかりと冷え切っている小さな身体を揺すぶる。

 

「エフィーリア! エフィ!?」

 

 倒れている人間の身体をゆすってはいけないと、医学をおしえてくれる先生は言っていたが、そんなことに今は頭が回らない。とにかく、今は一刻も早く、エフィーリアの無事を確認したかった。

 

「おいっ、エフィ! 生きてるか!? なあっ、お願いだ。返事してくれっ……!」

 

 シリウスは、今さら思いついたかのように、エフィーリアの胸に耳を当てて、心臓が動いているかどうか確認する。

 

「……よかった…ちゃんと生きてる…」

 

 エフィーリアの鼓動は、きちんと規則正しい鼓動を刻んでいた。どうやら、ただ気を失っているだけのようだとわかり、シリウスは安心した。

 エフィーリアが生きていることを確認してほっとしたとたんに、この華奢な少女に対してどうしようもない愛しさと悔しさが同時にこみ上げてきて、シリウスは冷え切ったエフィーリアの身体を抱きしめた。自分の身体で、彼女を傷つける全てのものから守るように―――。

 

「ちゃんと守る、って……約束したじゃないか……」

 

 「この命をかけてエフィーリアを守る」と自分とエフィルメに誓ったにもかかわらず、エフィーリアをこんな目に遭わせてしまった自分が不甲斐なくて悔しくて、声が震えた。目に、涙が滲む。

 

「ごめんっ……エフィーリア……。大切にするから。これからは、ちゃんと守るから―――!」

 

 今、自分の腕の中にいるこの小さな少女がとても愛しいと、シリウスは思った。

 

 

「絶対に、守るから………!」

 

 

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